こどもが転んでいる

東京の保育士不足と求人倍率

求人倍率が高く、全国でトップ

東京都では、待機児童数が全国平均と比較して急激に上昇しています。
厚生労働省のまとめ(平成29年4月1日時点)では、保育所などの施設の定員数は全国で274万人で、前年と比べて10万人が増加しています。

それに対して保育所を利用している児童数は255万人で、こちらも前年度から8万8000人の増加となっており、数字的には保育所に対して利用をしたい人数に余裕があることが分かります。
しかし、それにも関わらず待機児童数は26,081人と前年比から2,528人増加をしており、待機児童がいる市区町村も前年度から34増加して420市区町村となっているのです。

この待機児童がいる市区町村の中でも、前年と比較して100人以上増加したところは東京都大田区の343人、次いで目黒区の318人などです。
逆に待機児童数が100人以上減少した市区町村としては那覇市の-359人と東京都世田谷区の-337人、同じく北区の150人があります。
これを見ると待機児童数が急増しているのも急減しているのも東京都の住宅街という印象があるでしょう。

世田谷区に限定してみると保育サービスの利用児童数の増加が前年度より1,328人あり、待機児童数は861人と23区でトップです。
急増をした目黒区でも待機児童数は617人いるとされているので、行政側が急ピッチで受け皿を作っているにも関わらず実態が追いついていないということが分かります。
それに伴って出されている保育士の求人数は東京都だけでは約6倍となっており、全国平均は2.76倍と決して低くないものの、それをはるかに凌駕する数値となっています。

なお、全国最低の求人倍率となっているのは群馬県の1.12倍なので、同じ関東圏内でもかなりの差があるのです。

給料の上乗せなども行われていること

保育士人材の確保のために、国の制度として給与額の上乗せを支援策として行っています。
厚生労働省では民間保育所で勤務をする保育士の給与を平均5%改善するという策を打ち出しており、平成27年4月以降からはすでに平均給与が3%改善されました。
加えて平成26年度の公務員給与の見直しで保育士給与が平均2%改善されたことから、最大5%の改善があったということになっています。

また全国的に異常とも言える求人倍率になっていることを受けて、東京都では独自に保育士の給与に最大4万4000円の支援を行うことを決定しています。
他の地域から東京都に移住して保育士として勤務をする人材に対しては、保育事業所が借り上げた賃貸物件についてその家賃を補助することも定めました。
これにより、保育士は実質ほぼゼロ円で入居をすることができるようになっています。