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東京の保育士のお給料

東京の保育士の給料

東京は保育士の求人倍率が約6倍と、他の業界と比較しても例を見ないほどの極端な人手不足状態です。
都内には約70ヶ所の保育士養成施設があるとともに、年間1000~2000人が保育士国家試験で合格をしています。

この両者を合わせて年間約5000~6000人の保育士が誕生しているのですが、全国で保育士資格を取得していながら保育士業務に従事していない、いわゆる「潜在保育士」は約76万人いることが分かっています。
なぜ資格があるにも関わらず保育士としての勤務をしないのかというと、それはやはり勤務待遇の悪さが関係しています。

保育士の業務は長時間になることが多く、また子供の安全を預かるという非常に心理的負担の大きなものです。
それでいて給与待遇は一般的な会社員よりも恵まれていないということが多く、特に私立保育園においては給与体系が明確でないことから、昇給がないまま十年以上も勤務をする例もあります。

東京都内の保育士の平均年収は368.6万円であり、これは全国の保育士年収の316.7万円を上回っているものの、東京都内全業種の平均年収である612.6万円と比較をすると、かなり低いというのが実情です。

他県との違い・格差

極端に人手不足となっている東京都内ですが、実は平均年収額は全国でナンバーワンというわけではありません。
全国の保育士の平均年収で最も高いのは和歌山県の381.6万円で、次いで愛知県の371.6万円、東京都は第三位となっています。

なぜ東京都の保育士年収が高くならないのかというと、これは自治体により保護者から徴収する保育料が規定されていることが関係しています。
保育料は全ての保護者が一律ではなく、自治体に提出する年収額に応じて決定されるものです。

公立の保育所の場合、勤務をする保育士は地方公務員という立場になることから、年収額は公務員規定によって決定されます。
公務員給与は算定表が定められており、勤務年数や年齢に応じて徐々に昇給することになっているのです。

しかし、私立の保育園の場合は一応はその規定に準じることになっているものの、法的拘束力はないことから経営が苦しい保育園では長年据え置きということにもなってしまいます。
そのため早期に退職をしてしまう保育士も多く、そのことがますます平均年収額を下げる要因になってしまっています。

和歌山県や愛知県以外でも、比較的待機児童数が少なく保育士が安定的に勤務できる都道府県では、保育士の年収額は高めになるという傾向が見られています。
ただし東京都はそのギャップを埋めるために独自の支援補助金を設置しているので、実質的に受け取れる給与額はそれより高くなるでしょう。